・・・やってしまった。俺の運命とも言うべき能力が出てしまった。その名を



うっかり




という。これまで数々のうっかりをしてきた。例を挙げれば数知らず、

分数を掛け算に直すのが足し算だったり
数式が途中から改ざんされていたり
山頂に置いたリュックをうっかり放置したり

と普通じゃ考えられないうっかりが必ず起こる。

極めつけは、実家に帰るときにうっかりアパートの鍵を



さしっぱなし




にしていたことだ。あれにはぞっとした。その期間3日。

・・・よく泥棒に入られなかったものだ。



だが、今回のうっかりは・・・かなり深刻だ。

普通に問題を解いていたら・・・最後につまづいてしまった。

ひたすら見直した。
後ろから見直した。

方程式を片っ端から確かめたが全てあっていた。

間違っていたのは・・・一番最初の、符号化のところだった。

(000101010101)という数字の最後の





1








を見逃していたのだ。うっかりをおこさないように「1」には下線を引いていたのだが、そこだけ見事に

シャーペンの下線が引かれてい

なかったのだ。


そのことにやっと気づいたときは、すでに





終了3分前。





・・・さらば、試験よ。

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